出版翻訳の世界
例えば外国の小説を日本語に翻訳し、その日本語化された小説が出版されたとします。
となれば当然ながら翻訳を手がけた翻訳家にも報酬が入るのですが、その報酬は幾らになるのでしょうか。
当然気になるところです。
翻訳家の収入には印税が大きく関わってきます。
皆さんはこの印税と言う言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ということで、ここで印税について少し触れておきましょう。
印税は著作権者が著作権使用料として出版者等から受ける金銭のことを指します。
定価や発行部数に基づく一定歩合になっていることが多いようです。
また作曲家や歌手等がレコードやCDの発売数に基づいて受ける収入等にもこの印税という言葉を使います。
ところで印税は、[本の定価×印税率(6~8%)×刷り部数]で計算されます。
印税率は8%が慣例と言われますが、中小の出版社ではこれより低く設定していることも多くなっているようです。
この計算を見ていただいておわかりのように、翻訳家にとっては自分が翻訳した本の刷り部数が大きければ大きくなるほど、翻訳家に入ってくる報酬も上がる仕組みです。
同じように翻訳作業をしても、その本がたくさん売れるかそうでないかで、翻訳家に入ってくる報酬の額が大きく異なってくるのです。
ですが現状では初版で1万部を超えるような作品はそもそも多くありません。
また増刷される確率も低く、初版が刷られただけで消えてしまう本、即ちすぐに絶版となる本も珍しくありません。
たまたま翻訳した作品が大ベストセラーとして当たれば、翻訳家にはたった一冊の翻訳で数千万円が入ってくるような夢のような話もないわけではないのですが、そうしたケースは極めて稀です。
翻訳家への報酬
さらに最近では、翻訳家の報酬を計算する場合に従来の本の刷り部数ではなく、本の実売部数を基準にするケースも増えてきています。
出版業界全体の返本率は50%内外だと言われていますから、単純に言えば実売部数、つまり本の売れる割合は刷り部数の半分ばかりということになります。
そうなれば本の刷り部数を基準にした場合と比べて、翻訳家への報酬は半分となってしまいます。
翻訳家への報酬の計算方法の違いによって差が生じるのですが、この差は実に大きいと言えます。
翻訳家といえでも、その報酬、待遇にはかなり厳しいものがあると言えます。
とあるプロの翻訳家は、本当に翻訳だけで食べていける一流の翻訳家は、日本には非常に少ない、と言います。
ですが翻訳業に関してはこのような声もあります。
翻訳業には年功序列とかいったものはなく、何より個人の力がモノをいう仕事です。
従って長く翻訳に携わったベテランより、新人の翻訳家の方が最初からずっと上手なこともあります。
翻訳業は実力次第でチャンスがあると言えます。
実際に、研鑽を積んだ優秀な翻訳家は業界内でもひっぱりだこのようです。
例えば一年先まで翻訳の仕事の予約が詰まっていることも珍しくありません。
そうなれば翻訳家の方でやりたい作品を選んで仕事を受けることもできるようになりますし、売れ筋の書籍の翻訳を受注できる確率も高くなります。
先に紹介したように売れ筋の作品を翻訳したほうが、翻訳の報酬は大きくなります。
実力さえあれば幾らでもチャンスは拓けて来る世界だと言えます。